喉が渇かない冬こそ要注意!倦怠感の原因は「隠れ脱水」かも?専門家に聞く、正しい水分補給の新常識

人体の約70%は水分で構成されている。水分は体の機能を正常に維持するために欠かせない存在となっている。脱水状態が続くと、体温調節、消化、栄養素の吸収などの機能が低下するおそれがある。しかし、冬場の脱水は症状が目立ちにくいため、気付きにくいことが多い。

引用:satit sewtiw-shutterstock.com

冬でも私たちの体は日々水分を失っている。呼吸や皮膚を通じて約700mLの水分が蒸発し、尿として約2Lが排出されているのだ。

しかし、冬場は水分摂取量が減少する傾向にある。気温や湿度が低く、喉の渇きを感じにくいことが主な要因となっている。また、「水分補給は夏だけで十分」という誤解も影響しているようだ。十分な水分を摂らないと、体は徐々に脱水状態に陥っていく。

夏場の脱水は下痢や嘔吐など明確な症状が現れる。一方で、冬の脱水は倦怠感やめまい、手足のしびれといった軽微な症状しか現れないことが多い。この状態を放置すると、体内に老廃物が蓄積され、慢性疲労やさまざまな疾患の原因となる可能性があるという。

脱水による代表的な疾患として挙げられるのが腎結石だ。体内の水分が不足すると尿が濃縮され、カルシウムや尿酸が結晶化して結石が形成されるのだ。特に高齢者や慢性疾患を抱える人は、脱水による腎機能への負担に注意が必要となっている。

中国・広州で行われた研究によると、1日500mL以下の水を摂取するグループと、2000mL以上を摂取するグループを比較した結果、水分摂取量が少ないグループで腎結石の発生率が高かったことが分かっている。

また、膀胱がんのリスクも増加するという。研究によると、水分摂取量が少ないと尿中の発がん物質濃度が高まり、膀胱粘膜との接触時間が長くなることで、膀胱がんのリスクが高まるとされている。

さらに、水分が不足すると過食のリスクも高まっていく。脳が水分不足をカロリー不足と誤認識し、食欲を増進させるホルモンの分泌を促すためだという。

糖尿病患者や肥満者の場合、体液量の減少により血糖値が上昇し、代謝率が低下することで体調が悪化するリスクが高まるとされている。

では、冬場の脱水を予防するにはどうすればよいのだろうか。

脱水を防ぐためには、日常的にこまめな水分補給を心がけることが重要となっている。成人の場合、1日に7〜8杯の水を飲むことが推奨されているのだ。運動を多くした場合や暖房が効いた環境下では、さらに多くの水分を摂る必要があるという。

水分が不足している場合は、さまざまな野菜や果物を食事に取り入れることで補給するのも効果的だ。また、体内の水分を排出するカフェインやアルコールの摂取量を控えることも重要となっている。

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