「政治的発言するな」市長からの圧力で突如中止に…人気歌手イ・スンファン、表現の自由を掲げ憲法訴願へ

歌手のイ・スンファンが、コンサートを中止に追い込んだ亀尾(クミ)市長を相手取り、損害賠償訴訟に加えて憲法訴願を起こすことを明らかにした。29日、法律事務所ヘマルのイム・ジェソン弁護士がイ・スンファンの公式アカウントを通じて発表。「今後、公権力が舞台で公演するアーティストの思想を検閲し、発言を抑制し、従属させることがないよう」準備に至った経緯を説明した。

弁護士によると、亀尾市長は20日、イ・スンファンに対して亀尾市文化芸術会館長名義の公文書で「政治的扇動及び政治的誤解を招く言動をしない」という誓約書への署名を要求。22日14時までの提出がなければ「貸館規定に基づきキャンセルする可能性がある」と通告した上で、その後実際に貸館を取り消したという。

イム弁護士は「これは公権力による良心の自由と一般的行動の自由への侵害に他ならない。『政治的誤解を招く言動をするな』という署名要求はイ・スンファンの人権を侵害するものであり、何より1,000人以上が予約していた公演を2日前に一方的にキャンセルすることで、表現の自由、芸術の自由が脅かされた」と指摘した。

24日には、イ・スンファン側の弁護士が、亀尾文化芸術会館の貸館契約を取り消したキム・ジャンホ亀尾市長を相手取り、損害賠償訴訟を提起している。

これに先立つ23日、キム・ジャンホ亀尾市長は市民の安全確保や政治的扇動の懸念、誓約書作成への不同意などを理由に、25日に亀尾文化芸術会館で予定されていたイ・スンファンのコンサートの貸館を取り消していた。これを受けイ・スンファン側は遺憾の意を示すとともに、「速やかに亀尾市側への法的対応を進める」と表明し、「表現の自由を最優先の価値とする民主主義国家、韓国で起こってはならないことが起きた。私たちの社会の水準を高められるよう問題を指摘し、改善を求めていく」と強く訴えた。

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